真下みことさんの著書、『わたしの結び目』を読み終わりました。
あらすじ(ネタばれない)
中学生の里香は2年生になってから転校した。制服も変わり、セーラー服になった。リボンを結び直してくれた彩名は少し変わった子、という印象だったが前の学校で委員長をしていた里香は仲良くしようと決めた。
他のクラスメイトともだんだん仲良くなっていくが、
そんな教室の、教卓の後ろの棚に丸くて真っ白な菊が飾られている。
このクラスで誰か、亡くなった人がいるんだろうか。
疑問が膨らんでいくと同時に、彩名が里香に執着するようになっていき…
ちるちるの抜粋
※ネタばれのないように抜粋していますが、まっさらな気持ちで読みたい方は注意
親も先生も里香ちゃんも気づかない、わたしの気持ちが動いたことを表す傷。
わたしの結び目 [ 真下 みこと ]
私は一番に、たった一人になりたいだけ。
わたしの結び目 [ 真下 みこと ]
どうして慣れてしまうんだろう。小さいことでも嬉しかったのに、同じ感情を得るために必要なものを、もっともっとと求めてしまう。
わたしの結び目 [ 真下 みこと ]
どうして慣れてしまうんだろう。小さいことでも嬉しかったのに、同じ感情を得るために必要なものを、もっともっとと求めてしまう。
みんな、どうやって友達をちょうどよく大事にしているのだろう。そんなこと、誰に教わったのだろう。
わたしの結び目 [ 真下 みこと ]
「晩ご飯どうしよっかな」
代わりにそんなことを呟くと、目を覚ましたお母さんがひどいと言った。
「どうしてお母さんを責めるようなこと言うの」
「いや、そんなつもりは……」
弁明しようと思ったが、お母さんは自分が否定されたと思ってスイッチが入ってしまったようだった。
「彩名、カレー食べないでねって言った?言ってないよね、むしろ半端に残っているから食べてあげようと思って、お母さんだって別に食べたくなかった。頑張って食べてあげたのに、どうして責められないといけないの。彩名もあの人の味方なの」
わたしの結び目 [ 真下 みこと ]
心に引っかかった言葉たちは、すごくリアルで繊細な当時の気持ちを表している気がしたから引っかかったのかな。
感想
友達ってどうやって作るんだっけ?
思春期のバランスが取りにくさ、アンバランスさが端々に描かれていた。
不安定感が物語を読む中で増減する。
自分勝手に見える彩名は、母親という守らなければならない存在があるため自分勝手にできない状況にあり、
正義のように見える里香もまた、幼いが故の曲がった正義感から「仲良くしてあげなくてはいけない」と大人ぶることに必死。
それぞれの視点から描く時に、クラスという独特の空気=不安定感として描かれていて、ものすごくわかる人にはわかる感覚だと思った。
”遅れて、こういうときはサトセンのことを佐藤と呼ぶんだと気づいた。”
”生徒達は言葉未満のガヤガヤを口から出して水道付近に集まる。”
当時あったような、なかったような、記憶の片隅に思い出せるような空気感を細かく表現されている。
彩名とお母さんの会話は、
こんな会話を作り出すこと、理不尽を作り出す力、これは彩名のお母さんを心に住まわせてないとできないわ、と思って。ぞわっと。
タイトルの意味
タイトルの結び目、は制服のリボンの結び目として、真実と彩名のリボンから、彩名と里香のリボンに変化していき、
約束を結んだ2人の友情の結び目になっていく。
でも、結び目は結ぶだけじゃなくて、解くこともできる。
彩名の心の結び目を解いた里香の「信じてるから」という真っ直ぐさ。誰かに必要とされている、と感じられることで心は解けていく。
友達とか親友とか曖昧な表現でしか、仲良しであることを確認できない中途半端な年齢。その時だからできる真っ直ぐさでぶつかり続けた里香の思いが彩名に届いたんだなあ。と。
読後、友達に連絡を取ってみたくなりました。
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