第25回(令和4年度)精神保健福祉士国家試験問題
障害者に対する支援と障害者自立支援制度(社会福祉士 共通科目)
問題 56 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 1960 年(昭和 35 年)に成立した精神薄弱者福祉法は,ソーシャルインクルージョンを法の目的とし,脱施設化を推進した。
2 1981 年(昭和 56 年)の国際障害者年では,「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」というテーマが掲げられた。
3 2003 年(平成 15 年)には,身体障害者等を対象に,従来の契約制度から措置制度に転換することを目的に支援費制度が開始された。
4 2005 年(平成 17 年)に成立した障害者自立支援法では,障害の種別にかかわらず,サービスを利用するための仕組みを一元化し,事業体系を再編した。
5 2013 年(平成 25 年)に成立した「障害者差別解消法」では,市町村障害者虐待防止センターが規定された。第25回(令和4年度)精神保健福祉士国家試験問題
(注)「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである
障害者に対する支援と障害者自立支援制度(社会福祉士 共通科目)
正解は4
1の解説
1 1960 年(昭和 35 年)に成立した精神薄弱者福祉法は,ソーシャルインクルージョンを法の目的とし,脱施設化を推進した。⇒×
「1960 年(昭和 35 年)に成立した精神薄弱者福祉法」のセットは〇
ここで覚えておきたいのは精神薄弱者=知的障害者ということ。
しかし後半は間違い。「脱施設化」は「ノーマライゼーション」を目的としている。
ソーシャルインクルージョンはもう少し後、日本では2000年に提言に上がっています。
ノーマライゼーション→ソーシャルインクルージョンという流れです。
2の解説
2 1981 年(昭和 56 年)の国際障害者年では,「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」というテーマが掲げられた。⇒×
「1981 年(昭和 56 年)の国際障害者年」のセットは〇
この時のテーマは「完全参加と平等」でした。
「「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」というテーマ」は2006年の「障害者の権利に関する条約」です。
ここで覚えておきたいのは、障害者に関する初めての国際条約だったことです。
3の解説
3 2003 年(平成 15 年)には,身体障害者等を対象に,従来の契約制度から措置制度に転換することを目的に支援費制度が開始された。⇒×
「2003 年(平成 15 年)には,」「従来の契約制度から措置制度に転換することを目的に支援費制度が開始された。」のセットは〇
「身体障害者を対象に」ではなく身体障害者と知的障害者を対象にしていました。
4の解説
4 2005 年(平成 17 年)に成立した障害者自立支援法では,障害の種別にかかわらず,
サービスを利用するための仕組みを一元化し,事業体系を再編した。⇒〇
障害者自立支援法について覚えておきたいのは、「精神・身体・知的の3障害を対象にした」「障害程度区分」「市町村に一元化」です。
5の解説
5 2013 年(平成 25 年)に成立した「障害者差別解消法」では,市町村障害者虐待防止センターが規定された。⇒×
「2013 年(平成 25 年)に成立した「障害者差別解消法」」のセットも×
「障害者差別解消法」は2016年に制定されました。
ここで覚えたいのは「障害者差別禁止法」ではないということ。差別はいけないだろうという気持ちから私はこう書いてある問題を間違えたことがある。(私だけ?)
「市町村障害者虐待防止センターが規定された。」のは2012年に制定された障害者虐待防止法ですね。これは名前の通り!
今回の知識
・1960 年の精神薄弱者福祉法は知的障害者(精神薄弱者)の法律
・1950年ごろから始まった脱施設化の目的はノーマライゼーション。
・ソーシャルインクルージョンは日本では2000年に提言された。
・ノーマライゼーションからソーシャルインクルージョンへと変遷。
・1981 年の国際障害者年でした。テーマは「完全参加と平等」
・2006年の障害者の権利に関する条約は障害者に関する初めての国際条約。「私たち抜きに私たちのことを決めるな」というテーマ。
・2003 年には支援費制度が開始され、従来の契約制度から措置制度に転換。対象は身体障害者と知的障害者。
・2005年の障害者自立支援法では「精神・身体・知的の3障害を対象にした」「障害程度区分」「市町村に一元化」がポイント。
・2016年の障害者差別解消法では「不当な差別的取り扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めている。
・2012年の障害者虐待防止法で市町村障害者虐待防止センターを設置。
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