「あなたはモノに例えるとどんな人ですか?」
就職活動の時に想定質問集に載っていたひとつ。
するめ、潤滑油、ごはん…どの回答も正解なのだと思う。
誰にでも、するめな部分もあったり、潤滑油な部分もあったり、ご飯な部分もある。
でも、就職活動中に魅せたいのは自分の個性。
私は当時、面接官にインパクトを与える個性的な例えを探し続けていた。
そんなとき、日本刀の資料館に行くことがあり、日本刀の構造を知った。
日本刀の鞘は、中で刀が当たらないような構造になっているという。
ひとつの刀に対して、ひとつの鞘。
それ以外の刀をしまおうとすると、刃こぼれしてしまうどころか、うまく収まらない。
当たり前のことのようだけれど、心を打たれた気がした。
「わたしは鞘になりたいのかもしれない」
包み込み、守れるような。
収まりよく、安心できるような。
いざという時に力が発揮できるよう、常にそばにいるような。
鞘となるのは、人に限らない。家や、暮らし、お金もまた鞘となる。
今は精神保健福祉士の仕事で、支援を必要としている人にぴったりくる何かを一緒に探している。
利用者さんが暮らしやすさや、生きていくことを一緒に考え、利用者さんひとりひとりに合った鞘を探している。
そのひとにとって鞘となりうるものは違う。違ってい良い。
私という人がぴったりこなくてもいい。その人の鞘となる何かを一緒に探していく。
結局、就職活動中の「日本刀の鞘になりたい」発言は、当初の目的通り、インパクトは残した。
面接官の「なんだそれ?!」という顔は今でもしてやったりと思い出す。
しかしそれ以外の質問への対策が不十分だったので、落ちに落ちた。
今では、精神保健福祉士の仕事に就くために、不採用通知を何通も受け取ったのだと思っている。
精神保健福祉士という仕事が私にとってぴったりくる仕事になるのはいつなのだろう。
誰かのぴったりを探しながら、自分のぴったりも探している。
目標、鞘になる。その形はまだ模索中。
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